Ethereumを掘ってたら新しいWebが見えてきた

前回までで、Ethereumの入門というか門を開けるくらいのところまで到達できて一区切りを迎えた、非プログラマーによるEthereumシリーズ。
macOSのTerminalに耐性がない、コマンドラインツールに馴染みがないという状態でも、ドキュメントを探して読むことができれば何とかなるものです。
インターネットって時にはありがたい。


ということで今回は予告通りGASについて詳しくまとめようと思っていたのですが、色々と調べてみると既にあちこちにドキュメントがあるんですよね。
なのでざっくりまとめると、GASというのはEthereumのコントラクト(ユーザー同士のやり取り)を計算した結果支払われる賃金です。

コントラクトの複雑さ、コントラクトを作る人が設定した上限値、実際に計算に必要だった計算パワーによって算出され、そのコントラクトを計算した人にはたとえ計算が失敗しても支払われるという、純粋な労働時間に対する賃金と言えます。

裁量労働でもなく非正規雇用でもない、結果が伴わなくても実際に働いた分の対価が支払われるという、一部の会社が聞いたらドキっとするようなホワイトな仕組みがEthereumには採用されているんですね。

しかもそれが、通貨であるEthとは別に設定されているのが面白いなーと思いました。
実際にはEthに換算されて支払われるんですが、こういう思想が反映された実装っていいですよね。
なんてホワイト!ホワイトGAS!ホワイトガス!白アスパラガス!

というところまで調べていくと、もっと面白い流れが見えてきました。
それがDAppsによって実現される、Web3.0です。


1. Web1.0、Web2.0、Web3.0とは
点ゼロ、いる?
という素朴な疑問はさておき、SNSが発達してきた頃からWeb2.0という概念が語られるようになってきました。

人間というのはつくづく時間の連鎖に区切りをつけたがる生き物です。
Ethereumの送金まで終わって勝手に一区切りとか言い出した自分がまさにその権化なわけですが、読み物が置いてあるだけだったウェブに様々なアプリケーションが登場したことで、それまで読み手だった人々が容易に発信できるようになった、その変化をWeb2.0と呼んだのがティム・オライリーさんでした。

そしてユーザーが拡大してインフラが拡大してHTMLの仕様も新しくなって、ウェブの新時代だ、セマンティックだ、気まぐれロマンティックだ、ビッグデータだのクラウドとティファだのなんだのと話題になってきて、某鉄道会社がデータを大量に集めて売りさばいて問題になったりしてきた頃、その現象をWeb3.0だと呼ぶ人があちこちから出てきました。

その流れは今でも継続しているので、いまはWeb3.0の時代ですってドヤ顔で言ってもツイートさえしなければ問題ないかと思うんですが、個人的にはオススメしません。

で、ここにきて新しいWeb3.0を提唱する人たちが(主に海外で)出てきました。
キーワードは「DApps」です。

2. Dappが作る分散型Web3.0
DApps、多分そのままダップスと読むこの単語は「Decentralized Applications」の略語です。
日本語に訳すと「非中央集権型アプリケーション」と、随分と堅苦しい感じですが、これがまさにビットコインが目指したものです。
たとえば、世界中のツイッターユーザーが世界中のツイートデータを分散して保持して運営される、そんなイメージです。

Ethereumは暗号通貨として名前が知られていますが、個人的にはこのDAppsを開発するプラットフォームとしての存在価値の方が高いと思っています。
価値の交換ツールとして機能するものが野獣が闊歩する世に放たれるとどうなるか、それはみなさんニュースでご覧になった通りですが、新しいプラットフォームの価値は今の時点ではあまり知られていないと思うんですよね。

良くも悪くもEthereum自体がまだ一般に浸透していないというのも理由の一つですが、P2Pネットワークでデータを分散保持させて維持されるアプリケーションのプラットフォームです。
数が集まれば個々のユーザーがあらゆるサイトのデータの一部を持ち合う、WEBサーバーが存在しないネットワークも実現可能です。

というかそれはもう実現されてきていて、P2P間でデータ通信さえ出来ればOKなので、ネット回線ではなく、例えばbluetoothを介してアクセス可能です。
まだユーザーが少ないためにそこまで多くのサイトは存在していませんが、P2Pネットワーク内で動作するアプリケーションとかも出てくるのではないでしょうか。

ここまでくるともう、いっそWeb4.0でいいんじゃないかって思います。

3. DAppsあれこれ
さて、いまいちまとまりきらなかったテックブログ(申し訳ありません)最後に目に留まったDAppsをざっとご紹介します。
ですが、全てを実際に使ったわけではないので、ご利用は各自の責任のもとでお願いします。

■WEBブラウザ
https://brave.com

■通話
https://experty.io/ja

■データストレージ
https://storj.io

■OS
https://essentia.one

■SNS
https://akasha.world

■メッセンジャー
https://status.im

■お仕事探し
https://ethlance.com

■ゲーム
https://aethia.co

ブロックチェーンの重要なコンセプトは、非中央集権型であること、悪意を含み得る特定多数によって正当性が保証されること、そして特定の意図によって改変や破壊が不可能な点です。
そのコンセプトを受け継いだDAppsによって、多くのユーザーが気軽に技術を使える環境が整ってきています。
なんだかちょっと、アラブの春がもう一度起こりうる可能性を感じずにはいられません。。。

この技術をハンドリングできるようになるべく、次回はいよいよアプリ開発の第一歩をどこに踏み出すか悩んだ挙句決めきれないまま強引にまとめて記事にする、の巻です。
(予定です)